1981年に発売された、浜田省吾の7枚目のアルバム『愛の世代の前に』
“地球上から核兵器が根絶されない限り、本当のラブ・ジェネレーション(愛の世代)は訪れない”という意味からタイトルがつけられており、実際に表題曲の一曲には“一瞬の閃光”という歌詞が使われていて、原爆の閃光を指している。
少々、重たい話から始まってしまいましたが、収録されている曲には“愛”をテーマにした曲が多く収録されている一枚です。
バラードこそが真骨頂
個人的な意見では有りますが、ハマショーはバラードが真骨頂だと思っています。
ロックミュージシャンに対しての言葉として適当であるかどうかはさておきです。
そんなバラードの中で、当然オススメ曲があるわけですが、その中の一曲がこのアルバムに収録されております。
陽のあたる場所
不倫愛をテーマにしている一曲なんですが、深く考えずに歌詞を噛み締めると「片想い」の時に聞いてもグッとくるものがあります。
愛だけを見つめ 季節は過ぎていく
愛だけを見つめ 悲しみ深くなる
もしも この愛に形があれば伝えられるのに
偽りのかけらも無かったことを
高校の時からハマショーを聴いていますが、昔はこの歌をそんなに良いと思わなかったんです。
が、大人になってから改めて聴いてみると感じるものがあります。
ここで改めて不倫を否定したり肯定したりということはしませんが、実らぬ愛というか叶わぬ愛というか・・・そういった気持ちが込められている一曲です。
様々な愛の形を
このアルバムで個人的に一番好きな曲が「陽のあたる場所」ですが、それ以外にも愛の形を歌っています。
- モダンガール:彼女の気持ちが別の男性に向いていることを感じている、だけど諦められない(受け入れられない)男の心情をスローで都会的なイメージで歌うラブソング
- 愛という名のものに:“The 大人の別れ”という曲。一緒に暮らしていた二人がいつの間にか“すれ違って”いたというお決まりのパターンではあるが、別れて暮らすことで元に戻れると確信めいたものも感じる一曲。のちに同名のドラマのイメージソングになるピュアなラブソング
- ラストショー:映画のシーンを想起させるようなラブソング。1番で二人が一番輝いていた時を描き、2番で二人のすれ違いが浮き上がってくる。すれ違いを「別々の車線を走り始めていたんだね」と表現しており、「エピローグは俺ひとり」と悲しいラブソングですが、カッコ良い一曲。胸が痛くなるようなセンチメンタルなラブソング
- 悲しみは雪のように:ドラマ「愛という名のもとに」の主題歌になった浜田省吾の代表曲。ただ、ドラマタイアップ版はリメイク版であり、オリジナルはこちら。リメイク版のイントロはThe Policeの「見つめていたい」を連想する骨太のベースですが、オリジナルはポップなイメージ。自身の母親が倒れた時に書いた一曲で、雪のような深い悲しみと同時に「でも誰かを許すことを覚えてほしい」という歌詞が光る、自身の両親に向けたある種の“愛”があるラブソング
とまぁ、書き出すと抑えが効かなくなるんですが、様々な愛の形をこの一枚で表しています。
ただ、悲恋的なラブソングが多いですが・・・
おわりに
アルバムジャケットのイメージですが、ハマショーが敬愛するジャクソン・ブラウンのアルバム『Late For The Sky』を模しています。
2005年リリースの「初恋」の中にもジャクソン・ブラウンの名前が登場しており、浜田省吾の原点とも言えるミュージシャンです。
アルバムジャケをオマージュしたくなる程に・・・これもまた“愛”の形なんだと思います。
レコード情報
浜田省吾 – 愛の世代の前に
リリース:1981年
レーベル:CBS・ソニー
規格:12インチLP アルバム
stereo 33RPM
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